PDFを認識するための7つのOCRツール
スキャンされたファイル、画像ベースのPDF、デジタル化された文書を扱う際には、テキストの抽出や編集が必要になることが多いです。そこで活躍するのがOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)ツールです。以下では、デスクトップとオンラインの両方で利用できる、さまざまなニーズに対応する組み込み編集機能付きを含む最も効果的なOCRソリューションをいくつかご紹介します。
OCRツールとは?
OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)ツールとは、スキャンされた文書、写真、画像ベースのPDFなどの文字を含む画像を解析し、視覚情報を機械可読のテキストに変換するソフトウェアアプリケーションです。文字、単語、レイアウト構造を画像内で検出し、パターン認識、機械学習、言語モデルを用いて元の内容を正確に再構築します。OCR技術により、従来は静的かつ編集不可だった文書から検索、テキスト編集、データ抽出が可能になります。
1. ONLYOFFICE Docs
ONLYOFFICE Docsは、Microsoft Office形式との高い互換性と強力な共同編集ツールで知られるオープンソースのオフィススイートです。OCRの分野で際立っているのはプラグインベースのアプローチです。文書エディター内にOCRプラグインをインストールすることで、ONLYOFFICE環境を離れることなくスキャンPDFや画像からテキストを認識できます。この機能は無料のデスクトップ版とオンラインのクラウド版の両方で利用可能です。
OCRプラグインは複数の認識言語をサポートしており、多国籍チームでの利用に適しています。JPG、PNG、PDFファイルをアップロードしてテキストを抽出し、文書に直接挿入することも可能です。データの完全な管理を求める場合、デスクトップ版は完全にオフラインで動作し、プライバシーを確保します。
従来のOCRプラグインに加え、ONLYOFFICEではAIベースのプラグインも提供しています。これは人工知能を用いてPDF内のテキストを認識し、複雑なレイアウトや低品質なスキャンでも高い精度を発揮し、複数言語をサポートします。AIプラグインはOCRを超え、テキスト要約、翻訳、文法解説などの便利なツールも提供し、文書作業における多機能アシスタントとなります。お気に入りのAIプロバイダーをインストールする方法はこちらの記事をご覧ください。
メリット:
- 文書編集スイートに完全統合
- デスクトップ版とオンライン版の両方で利用可能
- 無料のオープンソースで商用オプションも提供
- 複数言語の認識に対応
- 従来型OCRとAIベースのテキスト認識の両方を搭載
- 要約、翻訳などの追加AIツールを提供
- 安全でプライバシーに配慮
デメリット:
- AIプラグインはインターネット接続が必要で、外部AIサービスに依存する場合がある
ONLYOFFICEを入手してPDFや画像から簡単にテキストを認識
スキャン文書からOCRでテキストを抽出し、エディター内で直接作業します。無料のONLYOFFICE DocSpaceアカウントを作成してオンラインで利用するか、Windows、Linux、macOS対応の無料デスクトップアプリでオフラインでも利用できます。
2. Adobe Acrobat Pro DC
Adobe Acrobat Pro DCはPDF分野の有力なツールで、PDF作成、編集、注釈、変換など包括的な機能を提供します。最も優れた機能の一つは、スキャン文書を開くと自動的に起動する組み込みOCRです。ファイルが画像ベースであることを検出し、テキスト認識を促します。Acrobat Proはフォーマットを高い精度で保持し、認識後も複雑なレイアウト内で直接編集を可能にします。
WordやExcelなど複数の形式へのエクスポートをサポートし、言語認識の精度も高いです。大量のスキャンファイルを扱うチーム向けにバッチOCR処理機能も備えています。
メリット:
- スキャンPDFでの自動OCR起動
- 高精度かつフォーマット保持
- 認識後のファイルを直接編集可能
- バッチ処理に対応
デメリット:
- 高価なサブスクリプションモデル
- UIが複雑になりがち
- WindowsとmacOSのみ対応
3. ABBYY FineReader PDF
ABBYY FineReaderは世界で最も高精度なOCRエンジンの一つと評価されています。プロフェッショナルや企業向けに設計され、レイアウト、スタイル、構造を保持しながら認識を行います。AIベースの認識により、表、列、ヘッダーなどの複雑な要素も再構築可能です。190以上の言語に対応し、多言語文書やグローバルビジネスに最適です。
OCR機能に加え、強力なPDF編集ツール、文書比較、コラボレーション機能を備えています。ただし、オプションが多いため、カジュアルユーザーにはやや圧倒的に感じられることがあります。
メリット:
- 高精度なOCR結果
- 元のフォーマットと構造を保持
- 幅広い言語に対応
- 複雑なレイアウトや法務文書に有用
- 編集と文書比較ツールを搭載
デメリット:
- フルバージョンは高価
- 時折利用するユーザーには複雑すぎる場合がある
- Windowsのみ対応(macOS版は機能制限あり)
4. Google Drive + Google Docs
この無料かつ驚くほど効果的な方法は、スキャンPDFや画像をGoogle Driveにアップロードし、Google Docsで開くだけです。Googleが自動的にOCRを実行し、抽出したテキストを編集可能な形式で表示します。フォーマットは完全ではない場合がありますが、領収書、契約書、手紙などのシンプルな文書には十分対応できます。
Googleエコシステムの一部であるため、認識テキストの共有、コメント、共同編集が容易です。ただし、ファイルサイズや画像品質、フォーマット保持に制限があり、オフラインでは利用できません。
メリット:
- 無料で使いやすい
- ソフトウェアのインストール不要
- クラウドストレージとコラボ機能と統合
- 基本的なOCR作業に適する
デメリット:
- 複雑なレイアウトではフォーマットが失われやすい
- Googleアカウントが必要
- インターネット接続が必須
- 高度なOCR設定やバッチ処理は利用不可
5. OnlineOCR.net
OnlineOCR.netは、スキャン画像やPDFを編集可能なテキストに変換するシンプルなWebツールです。ファイルをアップロードし、出力形式(TXT、DOCX、XLSX)を選択してダウンロードするだけで完了します。いくつかの言語に対応し、小さなファイル(15MBまで)は登録不要で利用可能です。大きなファイルやバッチ処理には無料アカウントの作成が必要です。
そのシンプルさは長所であると同時に短所でもあり、基本的なニーズには対応しますが、高度な精度、レイアウト保持、文書セキュリティ機能は欠けています。
メリット:
- インストールやサインアップ不要(小ファイルの場合)
- ワンタイムの作業に迅速かつ簡単
- 無料で使用でき、高い精度を実現
デメリット:
- 登録しないとファイルサイズに制限あり
- フォーマットが失われやすい
- 機密文書には不向き
- 編集機能は搭載されていない
6. Tesseract OCR
Tesseract OCRはGoogleが保守するオープンソースのOCRエンジンです。完成されたアプリではなく、開発者やテクニカルユーザーが自社ソフトやスクリプトに組み込むためのコマンドラインツールです。100以上の言語に対応し、高度にカスタマイズ可能なため、学術、研究、開発環境で人気があります。
ライブラリであるため、GUIインターフェースを組み合わせるか、自身でコードを書いて画像を処理する必要があります。OCRmyPDFやgImageReaderなどのラッパーがユーザーフレンドリーにする手助けをします。設定には手間がかかりますが、Tesseractは比類なき柔軟性を提供します。
メリット:
- 無料かつオープンソース
- 柔軟でカスタマイズ可能
- 多くの言語とスクリプトに対応
- 大規模利用の自動化が可能
デメリット:
- ユーザーインターフェースはない
- 設定に技術的知識が必要
- カジュアルユーザーには不向き
- 精度は前処理と設定に依存
7. PDF24 Tools(OCRオンライン)
PDF24 Toolsは、無料のオンラインPDFツール集を提供しており、OCR機能も含まれます。スキャンしたファイルをアップロードすると、元のレイアウトをほぼ保持した検索可能なPDFが生成されます。AdobeやABBYYほど高度ではありませんが、ソフトウェアをインストールせずに基本的なOCRニーズをスムーズに処理できます。
メリット:
- 無料でユーザーフレンドリー
- 登録不要
- ほとんどの場合で基本レイアウトを保持
- ブラウザ対応デバイスで動作
デメリット:
- 言語サポートに制限あり
- DOCXなど編集可能形式へのエクスポート不可
- プライバシーとセキュリティはサイトに依存
- 業務用や法務用途には不向き
まとめ
OCRツールは、スキャン文書、PDF、文字を含む画像を扱うすべての人にとって必要不可欠な存在です。紙資料のデジタル化、データ抽出、文書の検索・編集化など、適切なOCRツールは生産性を大幅に向上させます。
ソリューションを選ぶ際は、精度、使いやすさ、言語対応、オフライン利用可否、データプライバシーなどの要件を検討してください。シンプルなオンラインコンバーターから高度なデスクトップエディターまで、用途に応じた選択肢があります。
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