開発者向けONLYOFFICE 10.0:新機能まとめ
ONLYOFFICE 10.0には、エディタをベースに開発を行う開発者に向けた充実したアップデートが含まれています。ファイルの扱いをシンプルにする新しいエンドポイント、Document BuilderでのPDF編集、asyncメソッドに対応して刷新されたPlugin APIなどです。さらに、AI機能を制御するための新しい設定や、サーバー全体でより安全なデフォルト設定も加わりました。
ここでは、インテグレーションにとって特に重要な変更点と、アップグレード前に確認しておきたい動作の変更を手短にご紹介していきます。

AIツール、AIのカスタマイズオプション、サーバー側でのAI管理
ONLYOFFICE Docs 10.0では、すべてのエディタにAIツールが搭載されました。基本的なテキスト生成にとどまらず、文書の構造を理解し、要素を認識し、セクションをまたいでコンテンツを結びつけ、ナビゲーションしやすいようにクリック可能な参照を作成します。プライバシーへの配慮が必要な用途向けのローカルモデルを含め、あらゆるAIモデルを接続でき、タスクごとに異なるモデルを割り当てることもできます。

ONLYOFFICE Docs 10.0の商用版では、管理者が管理パネルでAIプロバイダーを一度設定できます。設定が済めば、エディタのユーザーは自分のAPIキーを入力しなくても、すぐにAIツールを使えるようになります。管理者は、特定のタスクに異なるモデルを割り当てたり、外部ツールにアクセスするためのMCPサーバーを接続したり、Web検索を利用可能にするかどうかを制御したりできます。サーバー側の設定を保存すると、ユーザーは承認済みのプロバイダーとモデルに限定され、自分でキーを追加したり、使用するモデルを変更したりできなくなります。詳しくはこちら
自社の製品にAIツールを表示するかどうかは、自分で決められます。バージョン10.0では、2つのレベルで制御できます。
- エディタのインスタンス単位:
editorConfig.customization.aiのdisabledパラメーターを使うと、特定のエディタ設定でAI機能を非表示にできます。 - サーバー全体:
aiSettings.enableのサーバー設定を使うと、AI機能をオフにし、/plugins.jsonからAIツールを除外できます。
顧客のプランごとに機能を分けている場合や、コンプライアンス上の理由でAIを使わない状態を保つ必要がある導入環境がある場合に便利です。
モジュール型アプリ
ONLYOFFICE Docs 10.0では、エディタの中核に手を加えることなく機能を拡張する新しい方法として、モジュール型アプリが登場しました。AIエージェント、フォーム、ルーム、そしてファイルといったアプリをONLYOFFICE Docsに組み込み、その上に新しい機能を追加できます。
開発者にとっては、ユーザーに必要な機能だけを有効にし、インテグレーションを軽量に保ちながら、製品の成長に合わせて段階的に拡張していけることを意味します。

セキュリティとアーキテクチャの改善
バージョン10.0では、いくつかの保護機能が「デフォルトで有効」になったため、新しいインテグレーションはより安全な状態から始められます。
- JWTがデフォルトで有効に。
default.jsonでJWTが有効になりました。 - トークンの扱いをより厳格に。テナントのシークレットを含め、シークレットが空または未設定の場合、ONLYOFFICE Docsはトークンを検証・署名せず、拒否するようになりました。
- サービスAPI向けにスコープを限定したトークン。
/converter、/docbuilder、/commandは、エディタ設定のトークンを受け付けなくなりました。トークン内の新しいoperationフィールドは、これらのリクエストでは任意、/converter/from-fileと/docbuilder/from-fileでは必須です。 - ダウンロードしたファイルの整合性検証。インテグレーションが整合性ヘッダーを送信すると、サーバーはダウンロードしたファイルをそのヘッダーと照合して確認します。対応しているヘッダーは、
Content-Digest、Repr-Digest、x-amz-checksum-*、WOPIのSHA256です。この動作はservices.CoAuthoring.requestDefaults.checksumVerificationで制御され、デフォルトはtrueです。 - WOPIホストの明示的な指定。WOPIホストは、IPフィルターのルールで許可されている必要があります。ワイルドカードの
allow: *ルールだけでは不十分になったため、各ホストを明示的に指定してください。 - APIのアクセス制御。
services.CoAuthoring.server.convertServiceEnableとservices.CoAuthoring.server.docbuilderEnableを使って、公開されている変換APIとDocument Builder APIをオフにできます。どちらもデフォルトはtrueです。 - ランタイム設定の制限強化。
runtime.jsonで変更できるのは、log4jsのログレベルのみになりました。
Document BuilderでのPDF編集
Document BuilderでPDFを編集できるようになり、さまざまな新しい自動化のシナリオが可能になります。
- OpenFileがPDFを賢く処理。ONLYOFFICEで作成したPDFフォームはドキュメントエディタで開かれます。それ以外のPDFはPDFエディタで開かれ、PDF APIのすべての機能を利用できます。
- パスワードで保護されたPDF。
OpenFileの新しいm_sPasswordパラメーターで、保護されたファイルを開けます。 - PDFフォームの作成。
CreateFileをpdfタイプで呼び出すと、PDFフォームを作成できます。
サーバー側では、通常のPDFとして保存されたフォームが、ユーザーの送信時に署名されるようになりました。これにより、フォームのワークフローの信頼性がさらに高まります。

ONLYOFFICE エディタ開発チーム責任者 Alexander Trofimov:
ONLYOFFICE Docs 10.0では、インテグレーションにとってエディタをさらに安全なものにしました。加えて今回のリリースでは、Document Builderで本格的なPDFサポートを実現しています。開発者もエンドユーザーも、回避策やサードパーティのツールに頼ることなく、BuilderからPDFを直接作成、編集、管理できます。
導入と管理のアップデート
本番環境でのONLYOFFICE Docsの運用も、より簡単になりました。
- 管理パネルがサーバーとともに起動。商用版では、管理パネルがデフォルトで自動的に起動するようになりました。JWTシークレットを確認するためのブロックや、テスト用サンプルを開く・開始・停止するためのボタンも含まれています。
- CLIによる管理者の作成。最初の管理者は、ホスト上の
documentserver-adminCLIで、create-adminとreset-admin-passwordを使って作成するようになりました。これは、ブートストラップのログに依存していた従来のWebページに代わるものです。 - 未保存の変更の自動復旧。サーバーが停止した場合、未保存の変更は自動的に「forgotten files」として復旧されます。これに伴い、独立した
changes2forgottenスクリプトは削除されました。 - 新しいデフォルトポート。DEBおよびRPMのインストールでは、デフォルトでポート
8083を使用するようになりました。必要に応じて、プロキシやファイアウォールのルールを更新してください。 - モニタリングの改善。新しい
coauth.connectionsメトリクスに、mode(edit、liveview、view)とreplicaのタグが含まれるようになりました。 - デスクトップ版のアップデート用フラグ。Windowsでは、
--prefer-alternate-urlコマンドラインフラグを使うと、Desktop Editorsが別の配信元からアップデートをダウンロードできます。 - ウェルカムページを刷新。サーバーのウェルカムページが新しいデザインになりました。
新しいファイル形式のサポート
バージョン10.0では、独自の作業を減らしながらより多くの文書を扱えるよう、2つのフォーマット関連のアップデートが加わりました。
- OFDの表示と変換。
ofdファイルを開いたり、変換したりできます。xpsと同様に、表示専用モードで開きます。 - XLSへの変換。あらゆるスプレッドシート形式を、従来の
xls形式に変換できます。ユーザーやパートナーが今もレガシーシステムに依存している場合に役立ちます。
ファイルを直接アップロードできるmultipartエンドポイント
これまで、変換サービスとDocument Builderサービスは、元のファイルをURLからダウンロードしていました。そのため、サーバーがアクセスできる場所にファイルをホストしておく必要がありました。バージョン10.0では、この手順を不要にする2つの新しいエンドポイントが追加されました。
どちらもmultipart/form-data形式のデータを受け付けます。ファイルやスクリプトをリクエストで直接送信できるため、一時的なURLで公開する必要がありません。
多くのワークフローにとって、よりすっきりとした選択肢です。たとえば、バックエンドのサービスがユーザーのアップロードしたファイルをその場で変換したり、ファイルを事前に配置することなくDocument Builderのスクリプトを実行したりできます。
リクエストの例:TXTをDOCXに変換する
curl -f -X POST "https://documentserver/converter/from-file" \
-F 'params={"filetype":"txt","outputtype":"docx","title":"Example Document Title.txt"}' \
-F 'file=@example.txt' \
-o "Example Document Title.docx"
Plugin APIの刷新
プラグインとマクロのAPIが、ここしばらくで最大の刷新を迎えました。
新しいグローバルEditorオブジェクト
メソッドは、Promiseを返す通常の関数として呼び出せるようになりました。すべての呼び出しをwindow.Asc.plugin.executeMethod経由で行う代わりに、すっきりとしたasyncのコードを書けます。
const text = await Editor.GetSelectedText();
その結果、コードは短く読みやすくなり、モダンなJavaScriptのプロジェクトにも自然になじみます。
新しいメソッドとイベント
バージョン10.0では、より充実したプラグインを作るための新しいツールも追加されました。
- メソッド:
Editor.RunMacro、GetRestrictions、SetButtonDisabled、GetOFormRole - イベント:
onFloatActionButtonClick、onSelectionEnd、onSelectionCancel
たとえば選択関連のイベントを使えば、ユーザーが選択を終えた瞬間やキャンセルした瞬間に、プラグインが反応できます。
ONLYOFFICE 10.0で開発を始めよう
バージョン10.0は、よりすっきりとしたAPI、より強力な自動化、より安全なデフォルト設定を提供します。最大限に活用するための簡単なプランをご紹介します。
- 動作の変更を確認する。トークンの使い方、WOPIのIPフィルタールール、新しいデフォルトポートを確認しましょう。
- プラグインをアップデートする。グローバルの
Editorオブジェクトに切り替え、名前が変わったメソッドや削除されたメソッドを置き換えましょう。 - 新しいエンドポイントを試す。変換のワークフローで、
/converter/from-fileと/docbuilder/from-fileをテストしましょう。 - AIの扱いを決める。製品のニーズに合わせて、
editorConfig.customization.aiまたはaiSettings.enableを設定しましょう。
クラウド版のONLYOFFICE Docsで開発していますか? エディタを外部のプラットフォームやサービスとより簡単につなぐなら、Docs Connectをお試しください。エディタを自社のサーバーに導入・保守する必要があるセルフホスト版のONLYOFFICE Docsとは異なり、Docs Connectではホスティング、保守、定期的なアップデートをすべて任せられます。
詳細はすべて変更履歴の全文でご確認いただけます。ご意見はONLYOFFICEのコミュニティフォーラムでお寄せください。皆さまが何を作るのか、楽しみにしています。
お役立ちリンク
APIの変更履歴:Docs API / Office API / Plugins API / Document Builder
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