ONLYOFFICEのチームはAIをどう活用しているのか:社内の実例をご紹介

2026年10月08日著者:Denis

ONLYOFFICEでは、文書の作成、共同作業、ワークフローの自動化を支えるツールを開発しています。同時に、私たち自身もAIを活用しています。デザイン、マーケティング、エンジニアリング、オペレーションの各分野で、自分たちの仕事をより速く、より一貫性のあるものにし、繰り返し作業を減らすためです。

ここでご紹介するのは、実験的なパイロットや概念実証のデモではありません。各チームが日々直面していた実際の課題を解決するために自ら構築し、本番環境で運用している実例です。実際にどのように活用しているのか、見ていきましょう。

ONLYOFFICEのチームはAIをどう活用しているのか:社内の実例をご紹介

モバイルデザイン:2日がかりの作業を1時間に変えたFigmaプラグイン

課題:App StoreとGoogle Playにスクリーンショットをアップロードするたびに、モバイルデザインチームはストアごとに約1日の手作業を強いられていました。Figmaからファイルを書き出し、名前を変更し、ロケールごとのフォルダーに振り分け、外部サービスで圧縮し(無料プランの制限にも悩まされながら)、すべてを正しい形式でアップロードする必要があったのです。

解決策:チームは、このプロセス全体を自動化するFigmaプラグインStoreShotを、Claudeと協力して開発しました。

StoreShotでできること:

  • Figmaのファイル名から、対象のストア(App StoreまたはGoogle Play)を自動で判別します。
  • ページのタイトルや言語コードの略称から、ロケール名を認識します。
  • PNGファイルを画質を落とさずに約35%圧縮します。1枚あたり約5秒で、外部サービスもトークンの制限もありません。
  • 各ストアに合ったフォルダー構成を自動で生成します。
  • ZIPアーカイブ、GitHubへの直接プッシュ、Giteaへの単一コミットでのプッシュという3つのアップロード方法を選べます。

成果:最初の本番運用では、2つのストアにまたがる652ファイルを処理しました。

  • Play Market:8つのロケールで252ファイル、約37%の圧縮。
  • App Store:10のロケールで400ファイル、約35%の圧縮。
  • 所要時間の合計:約2日かかっていたところが約1時間に。

いまでは、デザイナーはボタンをクリックしてアーカイブを展開し、プルリクエストを作成するだけです。

マーケティング:ファイルのアップロードから、テンプレートカードの完成まで数秒で

ONLYOFFICEのチームはAIをどう活用しているのか:社内の実例をご紹介

課題:マーケティングチームは、規模が大きく、今も拡大を続ける文書テンプレートのマーケットプレイスを運営しています。新しいテンプレートを追加するたびに、タイトル、説明文、SEO用の項目、カテゴリ、URLスラッグ、カバー画像といったカードの情報を、複数の言語で手作業で入力する必要がありました。すでに数千のテンプレートが掲載されている中で、これは無視できない継続的なコストになっていました。

解決策:チームは、ファイルを1つアップロードするだけで、そのまま公開できるテンプレートカードを丸ごと生成するAIパイプラインを構築しました。

仕組みはこちらです。PDF、DOCX、XLSX、PPTX形式のファイルをCMSにアップロードすると、2つの処理が並行して動きます。AIがテキストを分析し、文書の種類(既製のテンプレートか入力可能なフォームか)を判別して、必要な言語ですべてのメタデータを生成します。同時に、1ページ目のプレビュー画像が916×648、1448×1024、566×400、260×184の4つの解像度で生成されます。あとは編集担当者が確認して公開するだけです。

パイプラインが自動で処理する内容:

  • 8つのテキスト項目:タイトル、短い説明文、SEOタイトル、SEO説明文、詳細な説明文、カテゴリ、文書の種類、URLスラッグ。
  • 9つの言語:英語、中国語、ブラジルポルトガル語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、日本語、アラビア語。各ロケールはそれぞれの言語で生成されます。
  • スマートな重複排除:名前の衝突やURLの重複が起きません。
  • 手入力データの保持:人が編集済みの項目は、パイプラインが上書きしません。
  • ファイルの差し替え時に自動で再生成し、カードを常に最新の状態に保ちます。

成果:テンプレート1件あたりの定型作業の最大95%をAIが担うようになりました。生成にかかる時間は、15〜20分から数秒に短縮されています。現在、3,505件のテンプレートが本番環境で公開されており、新しいテンプレートもこれまでより大幅に速く公開できるようになりました。

マーケティング:Jasperで、ブランドに沿ったコンテンツを大規模に一貫して制作

ONLYOFFICEのチームはAIをどう活用しているのか:社内の実例をご紹介

課題:マーケティングチームは、ブログ記事、SNSの投稿文、広告クリエイティブ、メールキャンペーン、SEO記事、製品説明など、複数のチャネルにわたって大量のコンテンツを制作しています。そのすべてで、トーン、言葉づかい、ブランドボイスを一貫させる必要があります。海外の読者のみなさんに向けて複数の言語でコンテンツを制作する中で、公開のペースを守りながら品質と一貫性を高く保つことは、チームにとってますます大きな負担になっていました。

解決策:マーケティングチームは、マーケティングコンテンツに特化したAIプラットフォームJasperを、ブランドに沿ったアウトプットを保ちながらコンテンツ制作を加速するための中核ツールとして導入しました。

現在、Jasperがチームのワークフローに組み込まれている主な用途:

  • 長文コンテンツ:ブログ記事、記事、製品ガイドの下書きをJasper Canvasで作成します。チームが戦略的な方向性を示し、構成と初稿の執筆をJasperが担います。
  • 広告コピーとSNS:有料キャンペーン、LinkedInの投稿、SNSの更新に使う短いコピーを、Jasperに用意された50種類以上のマーケティング専用テンプレートを使って制作します。
  • メールマーケティング:キャンペーンメールやナーチャリングのシーケンスをJasper上で下書きし、磨き上げることで、ブリーフから送信できる原稿までの時間を短縮します。
  • 多言語コンテンツ:30以上の言語でコンテンツを生成・調整し、チームの規模をそれに比例して拡大することなく、ONLYOFFICEの国際的なマーケティングを支えています。
  • ブランドボイスの一貫性:JasperのBrand Voice機能にONLYOFFICEのトーンやスタイルを学習させているため、誰がタスクを始めても、AIが生成するアウトプットはブランドの基準に沿ったものになります。

成果:下書き、SNSの投稿文、広告のバリエーションといった定型的なコンテンツ制作が、大幅に速くなりました。チームの時間は、戦略、編集上の判断、そして人の手が必要なクリエイティブな意思決定へと移っています。量はAIが、質はチームが担うという形です。

自動化・運用管理:AIで作ったDocumentServerの診断ツール

ONLYOFFICEのチームはAIをどう活用しているのか:社内の実例をご紹介

課題:Docker、Linux、Windowsの各環境にあるONLYOFFICE DocumentServerのインストールで問題を診断するには、DevOpsやサポートのエンジニアが、コンテナ、サービス、ログ、設定を手作業で確認する必要がありました。初期診断には時間がかかり、担当者によってばらつきもありました。

解決策:チームは、AI主導の反復的な開発手法(バイブコーディングと呼ばれることもあります)を用いて、DocumentServerを診断するためのインテリジェントなコマンドラインユーティリティdsutilを構築しました。素早く仮説を立て、即座に改良を重ね、本番投入までの時間を最小限に抑える手法です。

dsutilがチェックする項目:

  • コンテナの状態とヘルスチェック。
  • 主要なサービス:docservice、converterなど。
  • Nginx、PostgreSQL、RabbitMQ、Redis。
  • エラー、タイムアウト、メモリ不足、実行時の問題に関するログ。
  • JSON出力を含む、構造化されたレポートを生成します。

対応環境:Docker、ネイティブLinux、Windows。

アーキテクチャ、チェックのロジック、ログのパターン分析は、AIとの共同作業で設計されました。その結果、エンジニア一人ひとりが毎回ゼロから組み立て直す必要のない、蓄積された診断ノウハウを反映したツールになっています。

成果:初期診断がすばやく標準化され、DevOpsとサポートの負担が軽減し、インフラの問題を迅速に特定できるようになりました。dsutilはオープンソースで、GitHubで公開しています:github.com/ONLYOFFICE/ds-util

自動化・運用管理:すべてのプルリクエストにAIレビューを

課題:コードレビューには時間がかかり、特に締め切りが迫っていると重要な点が見落とされがちです。チームには、レビューに費やすエンジニアの時間をそれに比例して増やすことなく、レビューの品質を一貫して保つ方法が必要でした。

解決策:自動化・運用管理チームは、DocSpace-buildtoolsリポジトリで、Claudeを使ったプルリクエストの自動レビューを導入しました。現在では、すべてのPRが人によるレビューの前にAIによる分析を受けています。

仕組みはこちらです。PRが作成または更新されると、パイプラインが自動で実行され、コンテキストを収集し、変更内容を分析して、構造化されたレポートを生成します。Claudeは、セキュリティ上の問題、コードの品質、設定ファイル、READMEの正確さ、CI/CDパイプラインのロジック、依存関係をチェックします。問題点は優先度付きでPRに直接投稿され、その後PRが更新されるたびにステータスが追跡されます。

成果:定型的なレビュー分析の最大80%をAIが担うようになり、エンジニアはアーキテクチャや、本当に人の判断が必要な複雑な意思決定に集中できるようになりました。レビューの基準は一貫して予測可能なものになり、バグや脆弱性もプロセスの早い段階で見つかるようになっています。人によるレビューを置き換えるものではなく、人によるレビューをより速く、より確実にするためのツールです。

マーケティング:FigmaからそのままHTMLメールへ、わずか5分で

課題:Figmaで作ったメールのデザインを、本番で使えるHTMLコードに変換するのは、技術的に手間のかかる作業です。レイアウト構造の解析、メールクライアントをまたいで動作するコードの記述、Gmail、Outlook、Apple Mailでのレンダリングの違いへの対応、よくあるミスの修正、ローカライズの管理などが必要で、メール1通にエンジニアの時間が3〜5時間かかることもありました。

解決策:マーケティングチームは、FigmaのレイアウトをそのままHTMLメールのテンプレートに変換する、AIを活用したツールFigma2Emailを構築しました。

仕組みはこうです。Figmaのレイアウトへのリンクを貼り付けると、AIが構造とスタイルを解析し、メールクライアント向けに調整したHTMLを生成して、その出力をバリデーターにかけます。出来上がったレイアウトは、通常、最後に少し調整するだけで済みます。

  • 生成時間:3〜5時間かかっていたところが約5分に。
  • そのまま使えるコードの割合:約95%。
  • Gmail、Outlook、Apple Mailでのクロスクライアント互換性。
  • よくあるコーディングミスの自動修正。
  • 10以上の言語のローカライズに対応。

成果:定型的な変換作業の最大95%をAIが担うようになりました。チームは、メールのレンダリングの癖と格闘するのではなく、最終的な校正とコンテンツの品質に集中しています。

これらの事例に共通すること

7つの異なるチーム、7つの異なる課題、7つの異なるAIの活用法。それでも、そこには一貫したパターンがあります。

定型作業はAIが、判断は人が担う。どの事例でも、繰り返しのアップロード、メタデータの生成、DNSの操作、ログのスキャン、コードレビュー、インフラの監査、コード生成といった、反復的で機械的な作業をAIが引き受け、最終確認、品質管理、そして重要な意思決定の責任は人が持ち続けています。

生産性の向上は、具体的で測定可能。2日が1時間に。15分が数秒に。3〜5時間が5分に。インフラ費用は月2,500ドルの削減。これらは将来の潜在的な価値の見積もりではなく、本番環境で運用した結果です。

ツールは、AIの支援を受けながら、すばやく反復的に作られた。これらのツールのいくつかは、ClaudeやGitHub CopilotなどのAI支援コーディングを使い、短いサイクルで改良を重ねながら開発されました。その開発の進め方は、ツールそのものと同じ考え方に立っています。自動化できる部分にはAIを使い、重要なことの中心には人の判断を置く、という考え方です。

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